理系書店員のひとりごと

水環境に興味があり「技術士」を目指す書店員のブログ。将棋アマ5級程度。日本手相能力検定3級。マラソン元サブスリー。トライアスロンはそこそこ。桑名七番勝負1回戦敗退。

0002_「日日是好日」

 最新本が置いてあることが少ないこのちいさな書房ではめずらしいことですが、今話題となっている本をご紹介します。

 初版は10年前の2008年(平成20年)。平成最後の30年のこの秋、現在映画も上映中とのことで、このお話が大きな話題になっています。黒木 華さん、樹木 希林さんらの出演するこの映画も本書とあわせて観てみたいところです。

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<目次>

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1.「日日是好日(にちにちこれこうじつ)とは

2.なぜ今 “お茶” なのか?

3.本書の魅力

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1.「日日是好日」とは

 この語は、中国の唐時代の雲門文偃(うんもんぶんえん)禅師の言葉で、雲門禅師の悟りの境地を表した言葉だと言われています。 普通に読めば、“毎日がよい日である” ということになりますが、それでは禅的解釈にはならないような。。。

 雲門禅師がなぜ「日々是好日」と云ったのかに疑問を抱き、その心を解くところにこの語の教え、並びに真意があるようです。

  著者のお茶の先生で本書に登場する武田先生も、お茶を通して、その味わいを日々そっと語らずに伝えてくださっています。

 

2.なぜ今 “お茶” なのか?

 世界中において、物質的にはかつてこれ以上ないほど豊かになったはずが、世情ますます不安定になりっております。そんな中、ここ10年ほどの間に、写経、滝行、断舎利、瞑想(マインドフルネス)・・・など、自分を見つめ直すものがブームになったりしてきました。そして、ついに来ました、「お茶」!!

-- <およそのブーム到来時期> ------------------

 2010年頃~ 写経、滝行、断舎利(※流行語大賞2010にノミネート)

 2015年頃~ 瞑想(マインドフルネス)、お茶(※緑茶:健康飲料として)

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緑茶は、健康志向の強い欧米をはじめ、最近ではアジア圏でも日本茶の人気が広がっているなど、世界で飲まれるようになりました。

 一方、“道”としてのお茶については、ブームとまではいかないものの、先述の瞑想などと同様に、いろいろな人たちに静かに受け入れられているようです。書店に並ぶ関連の雑誌もいくらか増えているようですし。

 物にあふれて行き詰ったとき、人は本当の豊かさを求めて、今度は自身の内面を見つめるようになるのでしょうか。きっと、お茶もその入口の一つになるのでしょう。

 

3.本書の魅力

 本書が初版発行後10年経った今、こうして華々しく登場したのは、きっと苦悩を抱えた人が増えたからでしょう。先の見えない世の中、自分自身の身の上など、考え出したらきりがありません。著者である森下先生の、決して順風満帆ではない様々な苦いご経験に自身を重ね、共感する人が増えたのかもしれません。『お茶を習い始めて二十五年。~気がつけば、そばに「お茶」があった』という。今だからこその1冊です。平易な文章で軽やかに書かれていますが、一つひとつ、味わい深い15のお話が詰まっています。お茶の作法と、そのなかに込められている心の部分も丁寧に書いてくださっているように思います。

 お茶は全くの素人の私ですが、本書を読み進めていくと、僭越ながらも森下先生とご一緒にお茶を学んだような気も致しました。また、案内人が先生だったから、「お茶」という一見お堅い内容であっても、本書の最後まで夢中で読み進めることができたのだとも思います。